515 夢野原 #2

傘など何の意味も成さないほど突然のどしゃ降りに遭遇した。
昨日、犯したミスや過去の大失敗などすべてを洗い流してくれそうな雨は、
街や草花の汚れもすっかり洗い流していた。
雨足が弱まった頃、辺りはすっかり暗くなっていたのに、
とある一角がぼんやりと明るく浮かび上がっていた。
街灯を仄（ほの）かに受けて白と緑が暗がりに浮き立たされる。
「あぁ、これは僕が名付けた“夢野原”だ、、、」とふと思い浮かんだ。
そう言えば前回も、こんな雨上がりの時だった。
目的地に急ぐことも忘れ、そうそう出逢えない夢野原に引き込まれて
しばらく眺めていたら知らぬ間に20分くらい経っていた。
夢野原には僕の中の時間を止める作用があるらしい。

「412 夢野原」（2006年1月26日更新分）