424 道に興ず＝「道興」（造語）

細い道、狭い道に惹かれる僕は今までにも幾つもその類の小道を歩き撮影し紹介してきた。
というよりも、見つけてしまうと歩かずにはいられずその欲望に抗（あらが）うことはできない。すでにその瞬間から目的地が変わってしまうことさえある。今まで見てきたものはその昔、小川だったという場所がほとんどだけど、ここ下町で見かけた小道は両側に家が建ち並ぶ通路といったところだ。
勝手口はひどく接近して向き合い、両手を広げれば隣同士のドアに届きそうなくらいだ。水捌（は）けが悪いのか中央にはV字型の水の通路が施されている。私道のようだけど、電信柱や街灯はあるし看板も掲げてあるのでどうやら公道らしい。それでもなんだか通るのは気が引ける思いで、路地に入る際に思わずお邪魔しますと心の中で呟やいてしまう。いつドアが開くかもわからないから、水溜まりをうまく避（よ）けながら中央を歩く。いつもは先が知りたくてうきうきしながら歩いているのに、この日の小道はなんだかワケが違った。小道にも色々あるようだ。

さてそろそろお目当てのお店があるはずなんだけど、本当にこんな民家ばかりの路地裏にあるのだろうか・・・。

細い道、狭い道について書いた、
「170 行き止まりの誘（いざな）い#1」（2005年5月26日更新分）
「171 行き止まりの誘（いざな）い#2」（2005年5月27日更新分）
「189 目的地なし」（2005年6月13日更新分）はこちらです。