348 太陽の慈愛

黄色く眩しく燃ゆるような太陽は、枝から生える緑の葉には恵みの光となって降り注ぐ。一方では、役目を終えて枯れて散って地面に落ちた枯れ葉には、残酷にも容赦なく照り付けてその身を焦がす。これも雨水が降っては蒸発するという循環を繰り返すように、枯れ葉は土に帰り肥料となって次の緑の葉を育てるという自然な流れなのだろうか。そして、それに欠かすことのできないものが太陽の光であり、一度はその身が終焉を迎えるという試練なのだろうか。
今、思わず終焉や試練と書いたけれど、土に帰るということはその字面が表わす通り“終わる”ことではなく元居た場所へ“帰る”ことだ。土が始まりなのか葉が始まりのか、どこが始まりなのかはわからないけれど悲嘆に暮れることはない。
陽がまた昇るように様々なサイクルが繰り返されて、また見たことのない景色を僕らに見せてくれる。先の347で太陽が悪者のように思えてきたという言葉は撤回させて頂きたい。