339 空色の色々

ネット越しの太陽はネットを焼き尽くす。か細いネットの紐は容易（たやす）く焼き切られ僕の目に飛び込んでくる。沈みゆく太陽はあらゆるものを焼き尽くし、その炎を浴びせられた景色は燃え尽きて焦げたかのように黒く染められる。何者もそれに逆らうことを許されず人もまた例外ではない。
そして黒い世界が織り成すシルエットとは色の世界のように多くを語ることは出来ないかもしれないけれど、黒1色にしか表現できない世界がそこにはある。それはこのネットにも言えることで緑色のネットが焼け焦げた今、その存在感をより際立たせいつものネットとは違う何かを発している。そして唯一、燃えさかる太陽の炎にも何ら影響を及ぼされることのない空が黒い世界に敬意を表するように、いつもの鮮やかな青さを抑えてその彩度を低く保っているように見えた。