283 儚さと華やかさ＝儚華（造語）

ススキは高さが1～2mに達するそうで目の前のものも僕の身長をゆうに超えている。この“ススキの群れ”が風向きに合わせて一斉に頭（こうべ）を右へ左へと揺り動かす。この後、少し高台になっている離れた場所から見下ろしてみると、金色（こんじき）の毛足の長い絨毯がフサフサしているように見えた。なんだかそのまま上に乗って寝っ転がれそうな感じだ。
ススキは青い空を背景に下から間近に見上げても、遠目に上から見下ろしても違う楽しみ方ができることを発見。十五夜が近づくと思い出すススキは、夏から秋へと変わりゆく季節の移ろいの象徴としてのどこか儚いイメージが強かったけれど、実際に目の当たりにしてみると意外と華やかなものだと感じるようになった。
“儚さ”と“華やかさ”の両方を併せ持つススキの相反する二面性を見た気がした。