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僕は彼らと幾度か会話を交わす。
被写体との会話は撮影の前から始まって撮影中も続き、撮影し終わった後もしばらく続く。皆、何か伝えたいことがあるみたいだ。この会話が成立しない時は撮影はそこで終了する。たとえシャッターを切っても後で削除することになる。ライカ(カメラ)を手にする前はこんな会話はあまりしたことがなかった。 最初は僕の方が何かを感じて撮影していると思っていたけど違った。彼らから話しかけてくる。不思議とカメラを持っていない時は誰も何も話しかけて来ない。昼夜を問わずいつ話しかけても何かしらの返事をしてくれる“空”でさえもそうだ。あの懐の深い“空”までにもあんな態度をされると、まるで無視されているような気持ちになっちゃうもんだから、おかげで今では10回の外出に9回はライカを携えるようになった。そんなわけで彼らとの会話も始まったわけだけど、いつだって話しかけてくるのは向こうで会話を終わらせるのは僕なのだ。僕が止めない限り会話は続く。終わりを告げると決まって彼らは不満気だったり、悲しそうだったり、駄々を捏(こ)ね始める。まったくもって損な役回りだ。でも会話が出来なかった頃には戻りたくないから自ら進んでこの役を引き受ける。
by designdk
| 2005-08-16 00:01
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