199 空を撮る理由 #4

夕方のやけに眩しい陽射しが歩道橋の欄干から垣間見えた。
太陽を含めた風景を撮影すると太陽と空以外のものはすべて色を失い黒一色になる。自ずと写真の中の色数は少なくなる。歩道橋、街灯、建物、木などの対象物は白黒写真のように濃淡だけの違いになる。それでも黒い被写体たちは色があろうがなかろうがその存在を主張するでもなくまた押し殺すこともなく、ただそこに在り続ける。
空以外のすべてを黒一色に染めた当の張本人はここぞとばかりに鮮やかな色を主張するかと思いきや、いつもと変わらず繰り返される朝に昇り夕に落ちるというプロセスを踏むだけだった。でもそんな日常が僕らの日常をも作り出してくれていた。様々な要素で成り立つ日常の中に、時には微（かす）かな非日常が隠れていたり当たり前過ぎて気が付かない風景が潜んでいる。そんな発見があったりなかったりするけれど、撮影する度に宝物探しをするかのようにレンズの向こうの風景や写真を眺める。見つからない時は空を見上げる。
太陽や空はその度に表情を変える。だから僕は撮り続けようと思える。


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