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廃屋のような建物がいつも気になっていた。
1927年築のこのビルは関東大震災の復興計画で建てられたものとのことで、037「人と文化」でも紹介した震災復興を目的に設立された同潤会を思い出す。廃墟と書いたが写真は建物の裏側で反対側は大通りに面していて喫茶店などの店舗は経営しており、まだ廃墟ではない。表側では壁のレンガや屋根の一部など崩れ落ちないよう防止ネットが張られ、古い趣(おもむき)のある建物と言うよりは崩れそうだという印象を受ける。大半の人は表側を見て同じような印象を持ったに違いない。でもその裏側では支え合っていたであろう建物が剥ぎ取られ寄り掛かる場所を失ってしまったけど、表向きにはまだ大丈夫なんだと威勢を張っているように僕の目には映った。よく見ると階段の跡もあり手摺りはまだ壁に取り残されたままになっている。その階段の跡を上がったところにはこの先、開くことはないであろう扉も宙に浮かぶように佇んでいる。 今まで陽の当たることなどなかった壁は雨風にも晒され戸惑っているに違いない。それでもなおそこに在り続けようという建物の息づかいをこの写真からは感じる。安全面を考えるとなるべく早く取り壊さないといけないのかもしれないけれど、その日がなるべく先のことでありますように、となぜか思ってしまう。
by designdk
| 2005-06-23 23:55
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